ザ・コピーライティング|売上を19.5倍にした“科学的広告”の極意
ザ・コピーライティング|“言葉をテストする者だけが反応を制す”
はじめに

「広告費は払っているのに問い合わせが鳴らない」「SNSのフォロワーは増えたのに売上は横ばい」――そんな悩みを抱える経営3年目のあなたにこそ、本書『ザ・コピーライティング』は効きます。著者ジョン・ケープルズは、1920年代から“テストされた広告法”を武器にレスポンス広告の常識を塗り替えました。見出しを1文字変えるだけで売上が19.5倍になったという事実は、広告の成果を「運」任せにしてきた私たちに強烈なカウンターパンチを放ちます。“科学的に検証された言葉”を使えば、少人数チームでも大手を凌ぐ反応率が得られる――それが本書最大の約束です。採用コスト高騰、客単価低下、競合過多という荒波の中で利益改善を目指す中小経営者にとって、この本は“広告の取扱説明書”と言っても過言ではありません。
本の概要
本書は初版『Tested Advertising Methods』(1927年)から数度の改訂を経て磨かれ続けたダイレクト・レスポンス・マーケティング(DRM)のバイブルです。ケープルズが提唱した3ステップ――①注意を引く(Attention)②関心を保つ(Interest)③行動を起こさせる(Action)――はAIDAモデルの原型として現代広告の骨格を成しています。さらに本書の特徴は「すべてをテストせよ」という徹底した実証主義。見出し、オファー、レイアウト、媒体、タイミングまで数値で検証し、「事実だけがコピーを導く」という姿勢を貫きます。一般的なコピーライティング本が感性や語彙を語るのに対し、本書は結果を生むメカニズムを論理と事例で示す点が決定的に異なります。
どんな人におすすめか
- 広告費が先行しキャッシュが薄いEC事業者
- 小額テストで勝ち筋を見つけてから拡大する“DRM思考”が資金繰りリスクを劇的に下げます。
- 職人型ビジネスから脱却したい士業・コンサルタント
- 「言葉が無形サービスの価値を可視化する」ことを理解し、成約率を高めるコピー構造が手に入ります。
- 代理店任せの広告運用に不安を抱くスモールメーカー
- 見出し35類型・オファー32チェックリストを活用し、自社でも“成果が測れる広告”を内製化できます。
- 講座・イベントをオンライン化したい教育事業者
- 「無料オファー→本命商品の階段設計」を学び、申込率と単価を同時に上げる導線を設計できます。
- 競合が多いローカルサービスの店舗オーナー
- クーポンと証言広告の組み合わせで地域検索からの来店を増やし、LTVを底上げできます。
本書の構成と内容
章 | キーコンセプト | 実務的ポイント |
---|---|---|
第1章 新しい広告戦略 | 事前テストの必然性 | 売上=見込客×成約率×単価のどこを検証するかを明示 |
第2章 見出しが命 | 得・新情報・好奇心を刺す | 35型テンプレで即改善 |
第3–4章 成功/失敗見出し | 10成功×10失敗事例 | NG例がそのままチェックリストに |
第5章 見出し35型 | 汎用テンプレ化 | 自社商品に当てはめやすい分類 |
第6章 訴求ポイント発掘 | “Wants”と“Needs”の分離 | 現場調査と顧客インタビューの重ね技 |
第7章 テスト済み広告 | 科学的アプローチ | 数字を取れない広告は存在しないと断言 |
第8–9章 熱意と書き出し | シズルコピーの注入 | リーダーズ・ダイジェスト流6型リード |
第10–12章 コピーの強化術 | 20増強&問題回避策 | 長文・具体・証言の3大原則 |
第13章 問い合わせ倍増32法 | オファーデザイン | 無料・限定・期限で行動を駆動 |
第14章 わかりやすさ | 小6国語レベル | 難解語削除テストで反応率アップ |
この本から得られる学び
■1. テスト文化が利益率を守る
広告を“制作物”で終わらせず「実験」と捉え、小額でもABテストを回す仕組みづくりが利益改善の最短ルートです。媒体CPMが高騰する今、クリエイティブを数字で磨ける企業だけがROASを維持できます。
■2. 見出し=9割の法則
ケープルズは「読者の8割は見出ししか読まない」とし、見出し改変だけで売上が劇的に伸びた事例を多数紹介します。SNS広告のクリエイティブ量産でもまずファーストビューの一文を変えるだけでCPCが半減する事例が後を絶ちません。
■3. オファードリブン思考
「無料」「返金保証」「限定●名」――ケープルズが体系化したオファー32パターンは、2010年代に爆発したリードジェネレーション施策の原型です。商材の価値を伝える前に“リスク低減”を示すことで申込ハードルを外します。
■4. 具体性と証言が信頼を創る
抽象語より「21年で35,840ドル稼いだ」など具体数字を提示し、第三者の声で裏付けることでCTRとCVRが同時に向上します。これはBtoBホワイトペーパーのDL率向上にも直結します。
■5. 広告は教育である
ケープルズ自身が「広告とは教育である」と述べる通り、コピーは売るだけでなく読者を啓蒙します。顧客体験と一致しない煽りコピーは短期利益を生んでもブランド毀損を招く――テスト数値と同時に長期視点の倫理観を学べます。
印象的だった一節とその解釈
「私がピアノの前に座るとみんなが笑いました。でも弾き始めると――!」ザ・コピーライティング ジョン・ケープルズ
この有名見出しは“変化の瞬間”を物語る一人称ストーリー。読者は「自分もそうなれるのでは?」と投影し、次の行を読まずにいられなくなります。実務では、ビフォー→アフターを1フレーズで示すヘッドコピーをLPやバナーの第一行に据えるとスクロール率が大幅に上昇します。
読了後のアクションプラン
- 現行LP・チラシの見出しを35型テンプレに当てはめ、3案以上書き直してABテスト
- 無料オファーを再設計:体験版・診断シートなどリスク低減系を追加しCVRを測定
- 証言集めプロジェクト:顧客インタビューを30分×5名実施し、具体数字入り声を取得
- 広告管理表を整備:媒体・見出し・オファー・CV数をGoogleスプレッドで一元管理
- 週1テストルール化:毎週月曜に新クリエイティブ投入→金曜に結果レビューし改善
まとめ
“言葉の選択が売上を決める”ことをデータで証明した本書は、広告をギャンブルから科学へと進化させました。テスト文化と35型見出しテンプレを自社に実装すれば、広告費を膨らませずに確実に利益を積み上げられます。読後すぐに見出しを書き換え、オファーを磨き、数字と向き合ってください。改善の伸びしろは、今ここから指数関数的に広がります。――さあ、次にテストする言葉は何にしますか?
投稿者プロフィール

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えだもん
中小企業診断士・ファイナンシャルプランナーとして、補助金・助成金を活用した経営支援や、事業の資金繰り改善、利益最大化の戦略立案を得意とする。独立系FPとして10年以上の実績を持ち、経営者の右腕として全国の中小企業を支援している。利益改善に役立つLINEマガジンも連載中です。
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