弱者こそ勝てる!7つの戦略で会社は変わる

『小さな会社 儲けのルール』|「弱者の戦略」で勝つ!ランチェスター経営の黄金法則


はじめに

「ウチのような小さな会社は、価格で勝負するしかない…」

「ライバルが強すぎて、太刀打ちできない」

そんな風に感じながらも、毎日の経営に必死になっている方へ。

本書『小さな会社 儲けのルール』は、まさに“弱者のための経営バイブル”です。

キーワードは「ランチェスター戦略」。戦争理論から生まれたこの戦略は、実は“社員数30名以下・資本の少ない企業”にとって最も有効な経営法則と言われています。

著者は、ランチェスター経営の第一人者・竹田陽一氏と、実務家の栢野克己氏。

大企業とは真逆の戦い方、つまり「狭く深く、地域密着・特化型で勝つ」戦略が7つのルールとして明快にまとめられています。

売上が横ばい、利益が出ない、社員が動かない——そんな悩みを抱える経営者の“モヤモヤ”を、「具体的な戦い方」に変えてくれる一冊です。


本の概要

本書は、ランチェスター戦略をベースにした「小さな会社のための経営戦略」を、7つのルールとして体系化した実践的な解説書です。

ランチェスター戦略とは、元は軍事理論ですが、経営においては以下のような特徴があります。

  • 弱者は「差別化」「1点集中」で勝て
  • 強者は「総合力」「効率性」で勝て
  • 経営資源が少ないなら「地域密着」「商品特化」で攻めろ

つまり、「弱者は強者と同じ土俵で戦ってはいけない」ということ。

これは、競合が多く、資金力も人材も限られている中小企業にとって、まさに“生き残りの武器”となる考え方です。

また本書は、事例と図解が豊富でとても読みやすく、「理念から販売戦術まで」段階的に実務に落とし込まれている点も特長です。


どんな人におすすめか

本書は、以下のような立場や状況の読者にとって、極めて実用的な指南書となります。


■ 3年目〜10年目の小規模企業経営者

「何とか会社は回っているけど、儲かっていない」「社員に任せたいけど、うまく回らない」といった経営中期のジレンマを抱えている方にとって、本書の“原理原則”は大きな気づきになります。


■ 競合に勝てず、価格勝負やチラシばかりになっている業種

整骨院、学習塾、建築業、美容室など、“差別化しづらい”業界で生き残るには、本書の「地域戦略」「一点集中戦略」がまさに使える武器となります。


■ これから起業したいが、戦略の立て方がわからない人

経営の素人がいきなり“戦略”といっても難しいもの。本書はその“型”をシンプルに7つにまとめており、起業前〜起業初期の方でも理解・実践がしやすい構成です。


■ 自社の理念やビジョンが曖昧なまま動いてしまっている方

本書は「戦略よりもまず“戦わない場所”を決めよ」「理念なき成長は事故を招く」といった視点をもっており、数字や販促の前に“経営の軸”を整えるヒントが得られます。


本書の構成と内容

本書では「小さな会社の成功に不可欠な7つの戦略」が、以下のように段階的に解説されています。

タイトル内容概要
第1戦略経営理念儲かる会社は「理念」が明確。信念なき会社に人は集まらない
第2戦略顧客ターゲティング「誰に売るか」を明確に。広く浅くより、狭く深く
第3戦略商品・サービス戦略多角化より“1点集中”。強みを徹底的に尖らせる
第4戦略地域戦略「エリアを絞って1位を目指す」ことで口コミが生まれる
第5戦略営業・販売戦略顔を出す。会いに行く。泥臭く“会って売る”仕組みを作る
第6戦略組織戦略社長の仕事は「社員を主役にする」こと
第7戦略時間・行動戦略経営は“何に時間を使うか”で決まる。社長の動きを見直せ

それぞれの章で、著者自身や中小企業の事例が紹介されており、「明日からできるアクション」が明確になっています。



この本から得られる学び

■1. 弱者は「差別化」よりも「一点集中」で勝つ

本書では「差別化」よりも、「誰にもマネできない1点に集中せよ」と繰り返し語られています。

小さな会社は何でも屋になると潰れる。だからこそ、「地域」「商品」「顧客」いずれかの軸で“1位”になれる場所を探し、そこに全リソースを集中する。これが、小規模経営の勝ち筋であると示されています。


■2. エリアを絞れば、広告も口コミも効率が倍増する

全国対応よりも「駅3つ分」で勝負する方が強い。これは小さな会社だからこそ通用する戦略です。

地域を絞れば移動時間・交通費・広告費が劇的に減り、リピートも紹介も起きやすくなる。つまり「強者は広く・弱者は狭く」が経営の鉄則なのです。


■3. 営業は「商品を売る」より「自分を売る」

小さな会社の営業戦略に必要なのは、ツールやSNSよりも「社長自身の行動」。

社長が顔を出し、人と会い、現場で“信用貯金”を積み上げていく姿勢こそが、リピートと紹介を生みます。とくに無名ブランドのうちは、「社長=最大の広告媒体」という視点が欠かせません。


■4. 経営の出発点は「戦わない場所」を選ぶこと

「勝てる場所を探す」のではなく、「戦わない場所を決める」。

これは本書における最大の逆説的戦略です。すでに強者がいる市場、価格競争に巻き込まれる市場からは、即撤退。自分の強みが活きる場所だけで勝負する「撤退の勇気」こそが、小さな会社にとって最大の戦略です。


■5. 社長は「社員の力を引き出す」ことに専念せよ

社員教育に悩む経営者に対し、本書では「社長が動きすぎるから、社員が育たない」と警告しています。

社長が現場を離れ、「考えさせる・任せる・やらせる」仕組みをつくることで、社内の主体性と連携が生まれる。組織戦略は“分業”ではなく、“役割と責任の明文化”が鍵であると示されています。


印象的だった一節とその解釈

「強者の戦略は、弱者がマネをした瞬間に“毒”になる。」

この一節は、小規模経営者にとって最も肝に銘じるべき警句です。

大手のようにネット広告にお金をかけたり、流行のDXを追いかけたり、オシャレなブランディングを真似しても、リソースのない会社には再現できない。むしろ中途半端な投資が経営を圧迫し、崩壊の道を辿ります。

だからこそ、弱者には「弱者の戦い方」がある。リソースを絞り、泥臭く、狭く、深く。

この覚悟こそが、小さな会社を“生き残らせる力”になるのです。


読了後のアクションプラン

  • 「自社の強み(商品・地域・顧客)」を1つに絞り込んで紙に書き出す
  • チラシ・SNS・広告の発信エリアを“駅3つ分”に限定して再設計する
  • 「いま戦っている市場」に強者がいるかどうかを分析する
  • 社長の1週間のスケジュールを見直し、“現場に出ている時間”を記録する
  • 社員の役割と期待する成果を“数値と言語”で明確に伝える場を設ける

まとめ

『小さな会社 儲けのルール』は、数ある経営書の中でも、“会社が本当に生き残るための原理原則”を明快に示してくれる一冊です。

  • 弱者の経営は、大手の真似をしてはいけない
  • 地域・商品・顧客を絞ることで、勝てる土俵が見えてくる
  • 経営はセンスではなく「ルール」で決まる

このランチェスター戦略は、まさに“中小企業のための生存戦略”です。

経営に悩むすべての小さな会社のリーダーにこそ、一度は手に取ってほしい一冊です。

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投稿者プロフィール

枝元 宏隆(中小企業診断士)
枝元 宏隆(中小企業診断士)
えだもん
中小企業診断士・ファイナンシャルプランナーとして、補助金・助成金を活用した経営支援や、事業の資金繰り改善、利益最大化の戦略立案を得意とする。独立系FPとして10年以上の実績を持ち、経営者の右腕として全国の中小企業を支援している。利益改善に役立つLINEマガジンも連載中です。