あなたの会社、仕組みで動いてますか?ゼロから学ぶ自動化思考


はじめに

「気づけば、いつも“自分”がボトルネックになっている気がする…」

「売上は伸びたのに、自由な時間が全くない」

「このままずっと、働き続けないといけないのか…?」

こんな風に感じたことのある小規模事業者や個人起業家にとって、本書『ヤバい仕組み化』は、まさに救いの一手になる一冊です。

著者は、仕組み化コンサルタントの松田幸之助氏と、士業・出版業・事業開発の実務家である吉川充秀氏。二人が実際に複数事業で「自分が現場から離れても利益が出る状態」を実現してきた知見を、“再現性のあるフレーム”としてまとめています。

本書は、単なる自動化ノウハウではありません。

経営者の「時間」と「意思決定」から現場を解放し、ビジネスを“仕組みで回る自走体”に変えるための戦略書です。

特に、成長フェーズに入ったはずなのに、「自由が失われた」と感じる個人経営者には、劇薬レベルのインパクトがある内容となっています。


本の概要

『ヤバい仕組み化』は、ビジネスを“社長がいなくても動く仕組み”に変えるための実務書です。

単なるSaaS導入やマニュアル作成とは一線を画し、

  • 人が育つ仕組み
  • 売上が上がる仕組み
  • 時間が増える仕組み

という、経営の“根幹”を構造化する方法を、「ビジネスの6分野×仕組み化7ステップ」に落とし込んで解説しています。

特徴は、以下の3点です。

  1. 理論ではなく、すべて“やってきたこと” 著者らが自身の会社で構築してきた実例をもとにしており、具体性・即効性が高い。
  2. 小さな会社・個人事業主向けにカスタマイズされている 売上数億〜数十億の中堅企業ではなく、“年商1000万〜5000万”規模の経営者にぴったりの難易度設計。
  3. 「考え方→構築法→テンプレート」まで揃っている 理論に偏らず、「仕組み化ってつまり、こうすればいいのか!」と手が動く構成。

導入部分では、仕組み化が進まない経営者の“あるある失敗パターン”も紹介されており、「自分もこうなってたかも…」と共感しながら読み進められる構成になっています。


どんな人におすすめか

本書は、以下のような悩みを持つ経営者・個人事業主・マネジメント層にとって強力な処方箋となります。


■ 売上は伸びているのに、社長の時間が減り続けている人

本来、事業が成長すれば“自由”が増えるはずが、実際は「人手が増えても仕事が減らない」現実に疲弊していませんか?

本書では“社長の仕事を仕組みに渡す”手順が明文化されており、ブラック労働から抜け出せます。


■ 教育や引き継ぎに時間を取られ、人を増やすほど疲弊している人

「マニュアルはあるのにうまく伝わらない」「スタッフが育たない」——その原因は、仕組みの“作り方”にあります。

本書では「人に任せる前の、仕組みの型」が豊富な実例とともに解説されています。


■ 新規事業や複数店舗展開をしたいのに、現場が手放せない経営者

本書では、1店舗目・1事業目を「自走させる」ことで、次の展開の土台をつくる設計が学べます。

“拡大前に手を離す”ことの重要性を教えてくれる構成です。


■ 忙しいのに利益が残らない、現場対応に追われる人

「稼いでるはずなのに、なぜかキャッシュが足りない」「全部自分が対応していて疲れる」

——この状態を脱するには、ビジネスモデルそのものの構造を変える必要があります。本書はその土台設計から教えてくれます。


本書の構成と内容

本書は以下の構成で展開されます。

タイトル内容概要
序章仕組み化が必要な理由社長が働きすぎる構造の“見える化”
第1章仕組み化を阻む5つの勘違いやってはいけない思い込みと解決法
第2章仕組み化7ステップ目的→設計→分解→記録→自動化→人へ→改善という流れ
第3章ビジネス6分野への仕組み化適用集客、販売、商品、サポート、組織、人材教育
第4章“事業そのもの”を仕組みで変えるビジネスモデル自体の再設計
巻末テンプレート・事例・ツール紹介再現性を高める資料が多数収録

“経営のどの分野から仕組み化すべきか?”という優先順位も明確にされており、読後すぐに自社に取り入れられるよう構成されています。



この本から得られる学び

■1. “任せる”前に“仕組み”を渡せ

多くの経営者は、「人が育たない」のではなく、「仕組みを渡していない」状態で人に任せてしまいます。

本書では「まず自分がやってみて、その手順を“仕組み”に落とし込んでから、任せる」ことの重要性を繰り返し説いており、任せ方の根本を見直せます。


■2. 仕組みは“目的”から逆算して設計する

「業務を仕組み化したい」と考えると、多くの人は“やり方”から考えてしまいがちです。しかし本書では、「その仕組みは、何を達成するためのものか?」という“目的思考”を出発点に設計するよう指導しています。これは全社最適につながる大きな気づきです。


■3. 「自動化」だけでは仕組みは完成しない

ツール導入や外注化だけでは仕組み化は完結しません。本書では、仕組み化の本質を「設計」「分解」「記録」「移譲」「改善」までを一連で回すことと定義しており、部分的なテクニックから脱却できます。


■4. 社長の“時間割”こそが、会社の仕組みの優先順位

「社長が何にどれだけ時間を使っているか」が、仕組み化のボトルネックを浮かび上がらせます。本書では、社長の1週間を可視化するワークを通じて、「今すぐ仕組みにすべき領域」が見えるようになります。


■5. 仕組み化は“自分の自由”のためではなく、“人を育てる”ためのもの

仕組み化=楽をする、ではなく、「人に考えさせる土台をつくる」ことが本書の核心です。やるべきことが明確に定義されていれば、スタッフは安心して挑戦できます。これは、リーダーとして“信頼を預ける技術”でもあります。


印象的だった一節とその解釈

「やらないことを決めないと、永遠に“やる人”から卒業できない。」

経営者や個人事業主は、「あれもこれも自分でやらなきゃ」と思いがちです。

しかしこの一節は、「やらないことを“明示的に”決める」ことの重要性を教えてくれます。

自分しかできないと思っていた仕事も、目的と手順を明文化すれば手放せる。

仕組み化とは、単に“便利なツールを導入すること”ではなく、“経営者の行動・判断を誰でも再現できる構造に変える”ことだと、本書は強く語ります。


読了後のアクションプラン

  • 自分の1週間の仕事を全て書き出し、「手放すべき順番」を決める
  • 最も時間がかかっている業務を「目的→手順」に分解して記録する
  • 社員や外注に渡す際の“判断基準”を明文化してテンプレ化する
  • 現場任せになっている仕事を「定義・手順・確認方法」で構造化する
  • ツールやマニュアルの導入前に、「何を達成したいのか」を整理する

まとめ

『ヤバい仕組み化』は、ただの「業務効率化」ではなく、“経営者の人生そのものを変えるための設計図”です。

  • 自分がいなくても回る会社をつくる
  • 売上よりも「自由」を取り戻す
  • 仕組みが“人を育て、利益を残す”環境をつくる

この3つを実現するための考え方と手順が、豊富な事例とともに凝縮された一冊です。

特に、起業数年目で「成長しているはずなのに、苦しさが増している」と感じる方には、劇的な転換のヒントとなるでしょう。

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投稿者プロフィール

枝元 宏隆(中小企業診断士)
枝元 宏隆(中小企業診断士)
えだもん
中小企業診断士・ファイナンシャルプランナーとして、補助金・助成金を活用した経営支援や、事業の資金繰り改善、利益最大化の戦略立案を得意とする。独立系FPとして10年以上の実績を持ち、経営者の右腕として全国の中小企業を支援している。利益改善に役立つLINEマガジンも連載中です。